ノーカントリー NO COUNTRY FOR OLD MEN 上映時間 122分
製作国 アメリカ
公開 パラマウント=ショウゲート
初公開年月 2008/03/15
ジャンル ドラマ/サスペンス
HP 監督:
ジョエル・コーエン イーサン・コーエン 出演:
トミー・リー・ジョーンズ ハビエル・バルデム ジョシュ・ブローリン
総合:★★★★☆
内容:★★★★
俳優:★★★★☆
映像:★★★★☆
感想:独創的・怖い・衝撃的
理解できない存在が迫り来る恐怖感と無力感に圧倒される作品。
何をおいても、映画の冒頭から最後に渡るまで、殺し屋アントン・シガーのその存在感!
どこから来て、何がそうさせるのか全くわからないまま、金や欲望や人間の考えを超越した無慈悲で気まぐれな存在。
しかし根底には彼自身のルールが存在し、圧倒的な力の前に、人々は理解もできずただ無力に殺されていく。
まるでこの世の中の見えない力を象徴するような存在でした。
個人的には、「ターミネーター」以来の迫り来る恐怖感。
ただしロボットやエイリアンでもない我々と同じ人間であり、痛々しくケガをしながらも、淡々と人を殺していく姿に、さらに恐怖感を煽られる。
そのアントン・シガーを演じるハビエル・バルデム。
その髪型から、銃でもなく圧縮空気ボンベを持つその姿は、明らかに異質。
静かに不気味で、低い声で放つ言葉の一つ一つに一触即発しかねない恐怖感を放ち、明後日をみているかのような眼がまた怖い。
舞台がNYなどの近代都市ではなく、テキサスというところがまた、彼の異質な存在感と進んだ異常性というものを感じさせる。
そして、彼の存在感を際だたせるのが追走劇の映像。
素直に面白い!
沈黙と間が生み出すはちきれそうなくらいの緊迫感の連続のシーン。
息をつく暇もないほどに画面にぐいぐい引き込まれていきました。
ストーリー的には、最後まで単なるサスペンスアクション路線で進むのかと思いきや、何かを考えさせるようなメッセージ性へといい意味で裏切ってくれる。
エンタメ部分の追走劇の面白さとそれが持つ意味がメッセージ性の部分とうまく絡みあい、
観ている側に問いかけてくる深い作品に仕上がっていました。
原題は、「NO COUNTRY FOR OLD MEN」
そのメッセージ性の部分をOLD MEN代表のベル保安官役のトミー・リー・ジョーンズがしみじみ渋く語ってくれます。
いつになく力のなさと悟りを開いたような疲れた表情でつぶやく言葉が印象的。
「歳をとれば神が俺の人生に入ってくるものと思っていた。しかし違った。もっとも俺が神でも俺は俺を許しはしない」
歳をとればできると思っていたのに、しかし現実は無力だったという挫折感や絶望感に打ちひしがれる姿は、歳に関係なくこの映画をみているものなら思わず共感してしまうだろう。
「NO COUNTRY FOR OLD MEN」ではなく、「NO COUNTRY FOR FOR ALL PEOPLE」とばかりに。
けれども絶望の底にたった上で、改めてそんな世の中でも世代を継いで一生懸命生きてきた、そしてこれからもそれは続いていくというほんのかすかな希望も感じさせてくれる。
個人的には、ここ最近のアカデミー賞作品の中で最もはまりました。
久々に疲れるくらいがっつり映画をみたなというくらい力強く圧倒される作品でした。